右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ11 EXPERT COURSE 解答 【症例 RE 53】

胆嚢捻転.Torsion of gallbladder.






図5〜図11のGBは図11で盲端になり,図4の肝門部で盲端になり,他に胆嚢らしい画像を認めないので胆嚢である.胆嚢は5cm以上に腫大し(図9),図7〜図10の胆嚢壁(↑)は単純CTで高濃度を呈してやや肥厚しており,壁内血腫または出血性壊死と解釈する.さらに,胆嚢が肝下面と接触する部分が図5と図6だけで,大部分は浮遊胆嚢(floating gallbladder)であり,胆嚢捻転を疑うべき所見である.入院後も腹痛はさらに増強したので手術となった.胆嚢が頸部で時計方向に180度捻転し,一部の胆嚢壁が壊死に陥っており胆嚢摘出術を行った.







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文献考察1):浮遊(遊走)胆嚢
【知っておきたい胆道の発生異常】 遊走胆嚢
  Author:安田秀喜(帝京大学 外科), 高田忠敬
  Source:胆と膵(0388-9408)23巻9号 Page743-747(2002.09)
  Abstract:遊走胆嚢は,発生頻度が4〜11%であり,胆道の発生異常の中でも比較的頻度が高い疾患である.遊走胆嚢自体は無症状で経過することが多く,臨床症状を認めない場合には診断は困難である.しかしながら,腹痛などの愁訴が体位変換にて改善する場合には,本症を疑い胆道系の精査が必要である.本症の画像診断の特徴は,胆嚢下垂があること,胆嚢が体位変換により正中を越えて左側に偏位することである.遊走胆嚢自体の病的意義は少ないが,腹痛などの愁訴を有する症例では胆嚢捻転症の合併を考慮して予防的胆摘術が適応となる.
追記:Grossの分類.A(I)型:胆嚢間膜(胆嚢と肝下面間の間膜)が肝床部全体に存在するもの,B(II)型:胆嚢間膜が胆嚢頚部にのみ存在するもの.

文献考察2):最近10年間の本邦集計75例(表1).
著明な低心肺機能を併存した胆嚢捻転症腰麻下手術の1例
  Author:永井盛太(山本総合病院), 岡田喜克, 町支秀樹, 野田直哉, 堀智英
  Source:臨床外科(0386-9857)57巻2号 Page255-258(2002.02)
  Abstract:症例は86歳と高齢で,又,胆嚢の位置が下方にありマックバーネー点に一致していたことなどから,手術は虫垂炎の場合と同様に腰椎麻酔下,傍腹直筋切開で行い,良好な結果を得た.最近10年間に日本で報告された胆嚢捻転症75例の年齢分布や性別,Gross分類,術前診断,治療法,予後等に関する統計的検討を加えて報告した.

文献考察3):術前診断可能例本邦集計55例(表2).
胆嚢捻転症の1例
  Author:三輪健(順天堂大学 第2外科), 渡邊心, 武井雅彦, 小坂泰二郎, 高森繁, 児島邦明, 深沢正樹, 別府倫兄, 二川俊二
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)21巻8号 Page1417-1421(2001.11)
  Abstract:68歳女.腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診し,鎮痛剤などで軽快しないため紹介来院し,急性胆嚢炎の診断で緊急入院となった.入院時,腹部超音波にて胆嚢結石と胆嚢壁に全周性の著明な肥厚と三層構造を認め,MRCPでは胆嚢頸部が描出されず腫大した胆嚢による総胆管の圧排所見が認められた.以上の所見から急性胆嚢炎の診断で緊急開腹手術を施行したところ,胆嚢は肝床部との癒着は認めず270°捻転しており,捻転解除後に胆嚢摘出術を施行した.胆嚢は暗赤色で壊死に陥っており,胆嚢壁は1cmと肥厚し,黒色石1個が認められた.病理組織学的にも胆嚢壁全層に亘って強い鬱血と壊死を認めた.胆嚢捻転症の画像特徴を理解していれば術前診断は可能であると考えられた.
  【参照症例】   上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ9 【症例 EE 43】

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